コンクリート工事は、打設が始まってしまえば止められません。生コンには練り混ぜからの時間制限があり、当日の段取りがそのまま品質になります。ここでは打設日の一日を時間の流れで追いながら、各工程が何のために存在するのかを整理します。
打設前:始まってからでは直せないことを済ませる
打設当日の朝、最初に行うのは型枠と配筋の確認です。型枠のはらみ、支保工の締まり、鉄筋のかぶり厚さとスペーサーの位置。これらはコンクリートが入った瞬間に修正不能になります。
同時に、打設計画を全員で共有します。どの位置から打ち始め、どの順序で進めるか。ミキサー車の到着間隔と、どこに誰が付くか。打設は人数と手順が揃って初めて成立する作業です。
受け入れ:納入されたコンクリートを確認する
ミキサー車が到着したら、納入書で呼び強度・スランプ・骨材寸法が指定どおりかを確認します。必要に応じてスランプ試験を行い、軟らかさが規定の範囲にあるかを見ます。
指定と違うものを打ってしまえば、後から取り返しがつきません。時間に追われる場面ですが、省略できない確認です。
打ち込みと締固め:材料を分離させない
ポンプ車やシュートでコンクリートを型枠内へ流し込みます。このとき重要なのは、一箇所に大量に落として横へ流さないことです。横流しをすると、重い骨材が手前に残り、モルタル分だけが先へ流れて材料が分離します。打設位置そのものを移動させながら進めます。
流し込んだら、バイブレーターを一定間隔で挿入して締め固めます。振動で内部の空気を抜き、鉄筋や型枠のすみずみまで充填させる作業です。
ここにも加減があります。短すぎれば充填不足でジャンカ(豆板)ができ、長すぎれば振動で材料が分離します。気泡の上がり方を見て、抜くタイミングを判断します。
均し:高さと勾配を確定させる
打ち込みと並行して、トンボやレーキで表面を基準高さまでならします。続いて長い定規(スクリード)を擦り、面の通りを出します。
ここで残った不陸は、この後の押え工程では直りません。仕上げ面の平坦性は、均しの段階でほぼ決まります。
待つ時間:ブリーディング水が引くまで
均しが終わると、しばらく手を出せない時間が来ます。コンクリート内部の余剰水が表面に浮き上がってくる(ブリーディング)ためです。
この水が残ったまま押えると、水を表層に練り込むことになり、水セメント比の高い弱い層ができてしまいます。表面が粉を吹く、削れるといった不具合の多くはここが原因です。
待ち時間の長さは気温・風・日照で大きく変わります。夏場は短く、冬場は長い。手順書ではなく、その日の面の状態を見て判断します。
押え:段階を分けて表面を締める
水が引いたら押えに入ります。粗押え・中押え・仕上げ押えと段階を分け、コンクリートの硬化の進行に合わせて繰り返し表面を締めていきます。
広い面積では機械ごて(トロウェル)を使いますが、壁際・柱まわり・出隅など機械が入らない部位は手押えになります。面積は小さくても目に付く部分です。
最終の金鏝押えで、必要な平滑さと表面強度を出して完了します。
養生:仕上げた面を守る
押えが終わった直後の面は、傷つきやすく乾燥にも弱い状態です。シート養生で保護し、急激な水分の逸散を防ぎます。
コンクリートは乾いて固まるのではなく、水と反応して強度が出ます。水分を保つことが強度の発現に直結するため、養生は仕上げ後の「おまけ」ではなく工程の一部です。
