コンクリートは「乾いて固まる」と思われがちですが、これは正確ではありません。この誤解が、養生を軽視する原因になっています。養生が何のために行われるのかを整理します。
コンクリートは乾いて固まるのではない
コンクリートの硬化は、セメントと水が反応して結晶をつくる水和反応によって進みます。水は反応の相手であって、蒸発すべき余分なものではありません。
打設直後に表面の水分が急激に失われると、その部分では水和反応が十分に進まないまま止まってしまいます。結果として、表層だけ強度の低いコンクリートができあがります。
「早く乾かせば早く固まる」というのは、実際には逆のことをしている状態です。
養生を怠るとどうなるか
- 表面強度が不足し、粉を吹く・摩耗しやすい床になる
- 表面と内部の収縮差により、初期のひび割れが発生する
- 設計で想定された強度に達しない可能性がある
- 表層が緻密にならないため、水や汚れが染み込みやすくなる
現場で行う養生の方法
最も一般的なのはシート養生です。仕上げた面をシートで覆い、水分の逸散を抑えます。同時に、雨・直射日光・落下物から表面を保護する役割も果たします。
散水養生は、表面に水を与えて湿潤状態を保つ方法です。ただし仕上げ直後の面に水をかけると表面を傷めるため、実施できる時期には注意が必要です。
気温が低い時期には、保温を目的とした養生も行われます。低温では水和反応の進行が遅くなり、必要な強度が出るまでの期間が延びるためです。凍結の恐れがある場合はさらに慎重な管理が必要になります。
養生期間中に載荷しない
養生期間中に人が歩いたり車両が乗ったりすると、まだ強度が出ていない表面が損傷します。跡が残るだけでなく、その部分の耐久性が落ちます。
工程の都合で早く使いたいという要望はよくありますが、必要な期間は用途によって異なります。歩行と車両乗り入れでは条件が違うため、いつから何が可能かを事前に共有しておくことが、後のトラブルを防ぎます。
養生は「工程の一部」
養生は打設と仕上げが終わったあとに行うため、おまけの作業と受け取られることがあります。しかし、ここまでの工程でつくったものの品質を確定させるのが養生です。
打設と仕上げを丁寧に行っても、養生を省けば結果は目に見えて落ちます。工程表に養生期間を最初から組み込んでおくことが、品質を守る現実的な方法です。
よくある質問
養生期間はどのくらい必要ですか?
コンクリートの種類、気温、求められる強度によって異なります。設計図書や仕様書で定められている場合はそれに従います。特に気温の低い時期は必要な期間が延びます。
雨が降ったら養生になりますか?
なりません。仕上げ直後の面に雨が当たると、表面が荒れたり水セメント比が乱れたりして品質を損ないます。雨は養生ではなく、防ぐべき対象です。
